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プチドッグ: 2015年8月アーカイブ

 

「売れる犬」ゆがんだ繁殖 日本で突出して多い遺伝性の病気

sippo 8月25日(火)12時40分配信

 犬や猫にも、遺伝子が原因の病気がある。実は日本は、世界でも目立って遺伝性疾患の犬が多いという。検査技術の向上で病気の発生を減らせるようになったのに、特定の犬種に人気が集中する風潮と繁殖業者(ブリーダー)の意識の低さが、望ましくない状況を生みだしている。

 名古屋市内で5月、「ペットプラス」を全国展開するペットショップ大手AHBの主催で、遺伝性疾患などに関するシンポジウムが開かれた。同社診療部の市橋和幸・獣医師がブリーダーらを前に、失明につながる病気「進行性網膜萎縮症(PRA)」を例に取って「発症犬は繁殖に用いるべきではない」などと説明した。

 原因遺伝子が一つに特定された犬の病気は5月現在、193ある。原因遺伝子を持っていても見かけは健康で発症しない「保因犬」同士の繁殖を行うと、4分の1の確率で病気を発症する犬が産まれる。一方で、犬の全遺伝子の配列はすでに解読されており、保因犬を見つけるための遺伝子検査も約50の病気で可能になった。

ブリーダーが注意をすれば原因遺伝子を受け継ぐ犬を減らせる環境は整ったはずだが、AHBの研究所長も務める筒井敏彦・日本獣医生命科学大名誉教授は「大学付属病院で犬の遺伝性疾患を長く見てきた。『日本は世界でも突出して犬の遺伝子疾患が多い』と言われる」と話す。

 その背景として、新庄動物病院(奈良県)の今本成樹院長はブリーダーが抱える問題を指摘する。

 ミニチュアダックスフントのなかでも白い毛が交じった「ダップル」という種類がはやり、高値で取引されていたことがあるが、今本氏は「この毛色になる遺伝子を持つ犬同士の交配では死産や小眼球症、難聴になる個体が確認されている。(ブリーダーは)はやりの毛色ではなく、まず犬の健康を求めてほしい」と話す。

 鹿児島大の大和(やまと)修教授は、プードル、チワワ、ダックスフント、柴犬(しばいぬ)など特定の犬種に人気が集中する日本独特のペット事情にも原因があるとみる。「特定の犬種がメディア報道で爆発的に流行し、短期間で可能な限り多くの個体を生産する努力が払われる。そんな土壌が遺伝性疾患を顕在化させ、新たに作りだす要因になっていると推測される」

 大和教授によると、日本で注意が必要な主要な犬の遺伝性疾患は表の六つ。たとえばウェルシュ・コーギーでは、10歳前後になると変性性脊髄(せきずい)症(DM)と呼ばれる病気を発症する可能性がある個体が約48%もいる。

 ペット産業側も動き出してはいる。AHBは年間のべ約1千人の契約ブリーダーらに遺伝性疾患の情報提供を行っている。ペッツファーストは「販売した子犬が発症した場合、ブリーダーに連絡して繁殖ラインから外させるなどの対応をしている。購入者には、診療費の一部負担や提携病院を紹介している」(正宗伸麻社長)。同じくペットショップ大手のコジマも、入荷後の全頭検査で異常や発症がわかった場合、ブリーダーに繁殖の自粛を促すなどしている。

 大和教授は「犬の遺伝性疾患は状況改善が可能だ。まずブリーダーの意識向上を図る必要がある」と話している。

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