殖させてポイッ 人気犬種の遺棄、春から夏にかけ横行…保護担当者怒り「許せない」
栃木、群馬両県の山中などで今年春から夏にかけ、生きた小型犬計約30匹が放置され、相次いで保護されていたことが10日、自治体などへの取材で分かった。病気を持った犬や衰弱したものもいたという。栃木県内では10月末以降、河川敷や山中で、小型犬計約70匹の死骸が見つかる事件も起きており、「業者による、不用な犬の遺棄が横行しているのではないか」と関係者は指摘している。
栃木県動物愛護指導センターや日本動物福祉協会栃木支部によると、7月20日に同県日光市、22日に那須塩原市、29日に足利市で、生きた小型犬が6匹ずつ計18匹放置されて、発見された。
同センターによると、多くがチワワやミニチュアダックスフント、ヨークシャーテリアなどペットとして人気の犬種。一部は皮膚病にかかったり衰弱しており、首輪がついている犬もいたという。「これだけの数がまとめて見つかることは通常ない」と担当者。同協会栃木支部長の女性も「繁殖用に飼われていた犬と思われる。ヘルニアにかかっているのもいて、業者が捨てた可能性が高い」と分析した。
また、群馬県高崎市動物愛護センターによると、市内の森でも4月と8月に、チワワやシーズー、パグなどの小型犬計11匹がまとめて捨てられているのが見つかった。同センターによると、2回とも同じ場所に捨てられていたという。
この11匹は、いずれもメスで、出産を経験した特徴として、乳首が腫れ上がったり歯がボロボロになっているものがほとんどだった。センターの担当者は「子どもを産ませようと、かなり酷使されたのでは」と話した。一部にはノミやダニだらけの犬もおり、衛生管理が悪い環境で飼育されていると指摘した。
両県で保護された約30匹のうち、大半はもらい手が見つかっているというが、担当者は怒り心頭。「痛ましいし許せない。センターとしても、飼育環境に問題はないか業者の点検をしないといけない」と語気を強めた。
栃木県内では、10月末から犬の死骸も約70匹が見つかっており、業者による“不用犬”の遺棄、放置が続いている、と指摘する関係者もいる。死骸は、10月31日と11月1日に宇都宮市の鬼怒川河川敷で計44匹、5日には栃木県那珂川町の山中で27匹が見つかった。県警は廃棄物処理法違反などの容疑で捜査している。那珂川町では、生きた5匹も保護されている。